PV 現在価値 意味と計算

PV(present value 現在価値)は、時期が異なるお金を比べるために、投資機会を現時点で評価した値のことです。通常は、将来の価値を適切な割引率(discount rate)を使って現在時点まで割り戻す計算した値のことを言います。例えば、現在価値はn年後の価値を「(1+r)のn乗」で割ることで計算できます(rを割引率と言います)。投資を評価する上で非常に重要な概念で、理論株価や企業価値を評価するための基礎となっています。直接的に投資に使う以外でも応用の利く考え方です。

Point

今のお金と、投資から得られる将来のお金を比較するための考え方。

n年後の価値を「(1+割引率)のn乗」で割ることで求める。

理論株価や企業価値の評価に使われている重要な考え方。

 

1.基本

投資を評価する際、今のお金と投資から得られる将来のお金を単純に比較することはできません。1年後に1,000万円(あるいはそれより少し多い額)を返すから、今1,000万円を貸してくれと言われても大半の方は受け入れないと思います。それはだいたい次のような理由からでしょう。

①貨幣価値の変動(インフレなら目減り)

②すぐにお金を使えないこと

③お金を運用すれば将来はもっと増えていると期待されること(機会費用)

④将来のお金を本当に受け取れるかわからないこと(不確実性)

金融投資・事業投資どちらの投資も異時点間の資金の取引という性質があります。例えば、A「今1,000万円を貸すことによって、3年後に1,200万円百万円を回収する」取引があるとします。これは今の1,000万円と3年後の1,200万円を交換していると考えることができます。B「現時点で1,000万円を投資して、6年間毎年200万円回収するような投資」もあるでしょう。この投資も、最初の1,000万円と毎年の200百万円を交換している異時点間の資金の取引と考えることができます。

A キャッシュフロー

B キャッシュフロー

 

投資を評価するためには、お金が出ていく時とお金が入ってくる時の時間の差の調整が必要になってきます。金融やファイナンスでは、将来のお金を現時点では低い価値に割引いて考えます。将来の資金を適切な割引率(discount rate)を使って現在時点まで割引した値を現在価値といい、この現在価値を使って投資機会を評価・選択します。割引率は、期待収益率と裏返しの関係にあり、その投資機会のリスクによって決まります。リスクが大きいほど高い収益率が期待されるので、高い割引率が用いられます。リスクが小さいほど低い割引率が適用されます。例えば、株式のインデックスファンドへの投資なら過去のリターンの実績などを参考に約5~7%程度を、信用力の非常に高い相手でお金の回収がほぼ確実なら安全性の高いとされる長期債券の利回り(例えば10年物国債の利回り)を使ったりします。

 

 

2.計算

現在価値はn年後の価値を(1+r)のn乗で割ることで求めることができます(rは割引率)。例として、A案とB案の現在価値を計算してみましょう。割引率は5%としてみます。

基本的には割引率は一定として計算行いますが、一定である必要性はありません。また年単位とする必要もなく、時間を連続的にして計算を行うこともあります。

Aの現在価値計算

Bの現在価値計算

このとき「1/(1+r)^n」の部分をdiscount factor(割引係数、割引因子、現価係数)と呼びます。また。Aの計算を「3年後の12百万円を割引率5%で現在価値に割り引く」などと表現したりします。

3NPVとIRR

現在価値を利用した投資の判断基準に正味現在価値(NPV:Net Present Valeu)と内部収益率(IRR:Internal Rate of Return)があります。正味現在価値(NPV:Net Present Valeu)は回収できる資金の現在価値の合計から初期投資額を引いた値です。内部収益率(IRR:Internal Rate of Returnは正味現在価値が0になるような割引率のことをいいます。

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